〜基本編〜

Photoshopを使い慣れている人と使い慣れていない人の一番の差は、「作業を簡略化できるか否か」とよく聞きます。
具体的にどういうことかというと、
・キーボードショートカットをうまく使いこなせているか
・アクションをうまく使いこなせているか
これに尽きます。
慣れるまでは逆に時間がかかりますが、これはキーボードのタッチタイピングと同じ、覚えてしまえばこんなに簡単なことはありません。
ここでは、私が頻繁に使うツールのショートカットをご紹介します。
(ちなみに、ショートカットはPhotoshopの設定で変更することができます)
ツールボックスの右下に三角が付いているものを長めにクリックすると、同じボックスから色々なツールが選択できますよね。
これはショートカットでも同じです。
普通はショートカットキーを押せばツールが変更されますが、Shiftキーを押しながらショートカットキーを押すと、同じ系列の他のツールに切り替えることができます。
例えば「B」を押すと「ブラシツール」が起動しますが、その時にShiftキーを押しながらもう一度「B」を押すと、同属の「鉛筆ツール」が起動します。
ツール系ショートカット
・B…ブラシツール/鉛筆ツール
    描画色で描画するツールです。線を描くだけでなく、塗りつぶしをする時に繋がっていない
    部分を繋いで、色漏れを防ぐのに使ったりと、かなりよく使います。
    二つのツールの違いは、ボケ足がかかるかかからないか。
    ちなみにモノクロ作業で使うのはほとんど鉛筆ツールの方です。

・G…塗りつぶしツール/グラデーションツール
    塗りつぶしツールは、描画色で同じ色の領域を塗りつぶします。
    「許容値」を増やすと、「同じ色」として認識される色の領域が増えます。
    ベタを塗る時、トーン化する為のグレー塗りをする時などに使用します。
    「描画色」ではなく「パターン」を選択すると、指定したパターンで塗りつぶすことができます。
    こちらは柄トーンを貼る時によく使います。
    グラデーションツールは、描画色から背景色へのグラデーションを作ります。
    グラデーションの方向も変更できます。
    グラデで塗りつぶしたい部分を選択し、このツールでドラッグすると、始点と終点を
    グラデーションの始点と終点にしたグラデーションを作成します。
    このグラデーションをハーフトーン処理などで、グラデトーンのように使用します。

・J…エアブラシツール
    ブラシツールよりもさらにボケ足の長い描画ツールです。
    モノクロ二階調ではグレーのボケ足がかかるエアブラシは一見使わなさそうですが、
    トーンレイヤーの上に「ディザ拡散」モードのエアブラシで白く描くと、
    トーンを削ったような効果が得られます。

・E…消しゴムツール
    透明色(背景レイヤーの場合は背景色)で描画します。
    モードは、各ツールの挙動と同じようになります。
    「ブロック」は、画像の表示サイズに左右されずに、同じ大きさの四角い消しゴムになります。
    細かい修正に意外と便利。

・W…自動選択ツール
    クリックしたところと同じ色の領域をまとめて選択します。
    塗りつぶしツールと同じく、「許容値」を増やすと、「同じ色」として認識される色の領域が増えます。
    あらゆる処理で非常によく使います。
    Shiftを押しながらクリックすると、前に作成してあった選択範囲に追加されます。
    Altを押しながらクリックすると、前に作成してあった選択範囲から削除されます。

・M…矩形選択ツール/楕円形選択ツール
    ドラッグしたところに、長方形/楕円形に選択範囲を作ります。
    クリックし、Shiftを押しながらドラッグすると、正方形/円形の選択範囲になります。
    Shiftを押しながらクリックし、ドラッグすると、選択範囲が追加されます。
    Altを押しながらだと、選択範囲が削除されます。

・L…なげなわツール/多角形選択ツール
    なげなわツールは、ドラッグの軌跡に沿って選択範囲が作成されます。
    ドラッグを放すと、始点と終点が自動的に直線で結ばれます。
    多角形選択ツールは、クリックした点と点が直線で結ばれた選択範囲を作成します。
    Shiftキー、Altキーで、上の選択ツールと同じ拡張機能があります。

・V…移動ツール
    選択範囲を移動します。選択範囲がない時はレイヤーごと移動します。
    原稿用紙の位置合わせや、セリフの位置合わせ、合成の位置合わせなど、
    かなりお世話になるツールです。

・T…文字ツール
    セリフやノンブルを入れるのに使用します。
    アンチエイリアスは「なし」にしておきましょう。

・Z…ズームツール
    クリックすると拡大表示、Altキーを押しながらクリックすると縮小表示されます。
    細かい作業の為に拡大したり、全体を確認する為に縮小したりと、とにかくよく使います。
補助系ショートカット
・「…かぎかっこ始まりのキー。押す度に描画系ツールのサイズが小さくなります。

・」…かぎかっこ終わりのキー。押す度に描画系ツールのサイズが大きくなります。

・Shiftキー
 …クリック→Shiftキーを押しながらドラッグすると
   ・描画系ツールだと、水平線・垂直線が引けます。
   ・選択系ツールだと正方形・正円になります。
 …Shiftキーを押してから
   ・描画系ツールで2点をクリックすると、2点を結んだ直線が引けます。
   ・選択系ツールを使用すると、以前の選択範囲に追加されます。

・Altキー
 …Altキーを押してから選択系ツールを使用すると、以前の選択範囲から削除されます。
   ズームツールでクリックすると、表示サイズが小さくなります。

・D…描画色が黒、背景色が白に設定されます。

・X…描画色と背景色が入れ替わります。

・Ctrl+Delete…選択範囲を背景色で塗りつぶします。塗りつぶしツールよりも軽いです。
          複数の選択範囲を一度にベタ塗りする場合、
          D→X→Ctrl+Delete
          という手順であっという間に完了します。

・Ctrl+G…下のレイヤーとグループ化します。グループ化といっても、他のソフトとは違い、実際には
       クリッピングマスクが作成されます(CSではクリッピングマスクという名前に修正されています)。
       グループの子レイヤーは、親レイヤーの不透明度の影響を受けます。(レイヤーマスクとほぼ同じ)
       どちらかというとカラーの時に重用します。親レイヤーを鉛筆ツールで線に沿って塗っておいて、
       子レイヤーをエアブラシで適当に塗ると、線からはみ出ずにエアブラシ塗りをすることができます。

・Ctrl+E…下のレイヤーと結合します。レイヤーが多いと負荷がかかるので、結合できるものはしておきましょう。
       描画モードの違うレイヤーを結合すると支障が出ます。結合前に描画モードの確認をしましょう。
アクションについて
「アクション」とは、Photoshopの処理を記録する機能です。
再生すると、記録した処理が再現されます。
「ウィンドウ」メニューから「アクションを表示」(またはヒストリーとタブ切り替え)すると
アクション一覧が表示されます。
アクションウィンドウの「新規レイヤー」と同じアイコンをクリックすると、アクション名と、
それに割り当てるファンクションキーを設定することができます。
「記録」をクリックすると記録が始まります。
例えば「解像度を変更する」「画像サイズを変更する」「フィルターをかける」など、色々な処理が
「アクション」として登録することができます(できないものもあります)。
ビデオやコンポと同じく、■をクリックすると記録が終了します。

ファンクションキーを割り当てると、いちいち再生ボタンを押さなくても処理が実行されます。

また、「ファイルメニュー→自動処理→バッチ」というものがあります。
これは、アクションに登録した処理を、「フォルダ内のファイル全て」などに適用します。
保存処理まで自動化できるので、たとえば時間のかかる処理を何ページにも施したい時に
これを仕掛けておけば、用事を済ませている間に自動的に処理を完了してもらえます。

いろんなサイトさんで、役に立つ「アクション」を配布してくださっています。
うまく活用して作業の効率化を図りましょう。
ツールのオプションについて
各ツールには、機能拡張のためのオプションが用意されています。
これを使いこなすと、画像処理の幅が一気に広がります。

・描画ツール系のオプション(筆圧感知)
メニュー右の方のブラシ型アイコン(6.0)、または「ブラシ」タブ(CS2)から変更できます。
タブレットの筆圧感知の設定です。モノクロ二階調の処理では、「不透明度」の筆圧感知を必ず「オフ」にしておきましょう。(CS2では「その他」の項目で変更できます)
あとはその場のお好みによって変更して下さい。

・塗りつぶしツール、自動選択ツールのオプション
「アンチエイリアス」「隣接」「全てのレイヤー」の3つのオプションがあります。
モノクロ2階調処理の場合、「アンチエイリアス」は基本的にチェックなしにしておいてください。
(例外もあります。詳しくはトーン処理編にて)

「隣接」にチェックを入れると、「許容値」で設定された色域の範囲を、許容値外のところまで処理の対象にします。つまり単純な塗り絵ですね。モノクロ処理ではあまり許容値は関係ないのですが(白か黒かどちらかなので)、カラーやグレースケールの時はこれを大きくすると、ちょっとくらい色が違っても「同じ色」として認識されることになります。
逆に、「隣接」のチェックを外すと、囲まれていなくても、同じ色のところは全部処理対象になります。
つまり、モノクロの線画の白部分のどこかに、「隣接」チェック無しで黒塗りつぶしを行うと、全部が真っ黒になります。

「全てのレイヤー」にチェックを入れると、現在選択しているレイヤー以外のレイヤーも、領域選択の対象範囲になります。
例えば、線画レイヤーの上にもう一枚新規レイヤーを作成し、その新規レイヤーを処理対象としている時、「全てのレイヤー」をチェックしないで塗りつぶしツールで黒を流し込むと、レイヤー全体が真っ黒になってしまいますが、チェックして流し込むと、下の線画レイヤーにある囲み領域の部分だけ塗りつぶされることになります。
レイヤーの描画モード
使用するのはほとんど「通常」「乗算」「スクリーン」の3パターンです。

「通常」は、そのレイヤーの色・不透明度の属性がそのまま反映されます。ほとんどの場合「見たまんま」になります。

「乗算」は、下のレイヤーと比較して、より暗い部分が浮かび上がります。
真っ白なレイヤーを「通常」モードで重ねると一面真っ白になりますが、「乗算」モードで重ねると、下のレイヤーの画像がそのまま見えます。
主にトーンレイヤーに使用します。

「スクリーン」は、下のレイヤーと比較して、より明るい部分が浮かび上がります。
真っ黒なレイヤーを「通常」モードで重ねると一面真っ黒になりますが、「スクリーン」モードで重ねると、下のレイヤーの画像がそのまま見えます。
主にホワイトレイヤー、他トーン作成段階の処理に使用します。
環境設定
「編集」→「環境設定」→「単位、定規」で、「定規」を「cm」または「pixel」にその都度切り替えることになります。
印刷する為の版下作成なので、ほとんどは「cm」。
「pixel」は、矩形または円形選択ツールで直接数値入力する時、または「境界線を描く」「境界を拡張」など、pixel数指定系の処理を行う時に、入力値の目安を計る時に使用します。


それでは実作業に入りましょう。→